部屋を出るときには気をつけよう

原状回復義務

賃貸でもトラブルが起こります。
多種多様なトラブルがあるのですが、部屋を借りていた人がそこから出るときに、
貸した人から部屋の状態を元通りにするようと言われて、トラブルが起こることがあります。
これは、賃借人の原状回復義務と呼ばれるものです。

私どもの事務所に来られたKさんは、アパートの1室を長い間借りていました。
その期間は6年3ヶ月でした。
母親の面倒を見るために田舎に帰ることになったので、
そのアパートから引っ越すことになったのです。
長い間Kさんが住んでいたので、そのアパートには傷みも出てきたことでしょう。
畳の交換や部屋の清掃など、次の人が入るまで、貸主は部屋をきれいにする義務があります。
そのリフォームに使うお金を、貸主は、Kさんが納めていた敷金から使う予定でした。

ところが、Kさんはそれを返還してもらいたかったのです。
Kさんは、畳の交換に必要なお金ぐらいは、敷金から引いてもらってもいいと考えていました。
しかしそれ以外の敷金は、こちらが受け取ることができると思われていました。
部屋の傷みや汚れは、自然にできたものだと思う。
私は故意にその部屋を傷ませたり、汚したわけではない。
だから大部分の敷金は返してほしい。
というのがKさんの主張です。

裁判所の判決

裁判所は、Kさんの訴えを認めました。
私が予想した判決が出されたのです。
Kさんの言うように、Kさんはその部屋をわざと傷めたわけではありません。
自分の住んでいるところを、自分から傷つける人はいないでしょう。
もしKさんが普通でない行動をとり、その部屋を傷めたり、汚したのなら、
Kさんは敷金からその修理代を払う必要があります。
しかし、Kさんには全くそういう行動は見られませんでした。

賃借人の原状回復義務は、しばしばトラブルの元になります。
Kさんの例のように、敷金が絡んでくることが多いです。
賃借人には、確かに原状回復義務があります。
それは、賃貸人が通常では考えらない行動で、借りている場所を破損したり、汚した場合です。

それ以外に、賃貸人が何かをしないといけないという義務はありません。
この種の裁判は、全国で起こされています。
Kさんの例のように、敷金が戻ってくる判決が多いです。
でもこういった例を知らなくて、大家さんに敷金の返還を求めない人も、比較的多いようです。
部屋を出た後に、そこをきれいにするので、敷金は返せないと言われたら、
納得してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
でも、故意に部屋を傷めたことがなかったら、敷金を返還してもらうことはできるのです。